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中国―経済

中国史の見え方が変わる岡本史学

中国史の第一人者、早稲田大学教授の岡本隆司さんが、中世の海賊「倭寇」が実は17世紀以降も生き残り、現在にいたるまで中国史を動かす大きな要因となっているという、驚きの歴史観を提示する『倭寇 中華を揺さぶる「海賊」の正体』(新潮選書)が、新潮社から2月19日(水)に発売される。

日本史の教科書では、倭寇は14世紀後半に出現し、日本の鎖国体制が完成する17世紀に消滅したと説明されている。しかし、そもそも倭寇は日本人が主体ではなく、中国人が主体だったことを考えれば、日本が鎖国したからと言って海賊たちが東シナ海から消えたはずがない。本書では、17世紀以降も活発に活動してきた海賊たちの動向を追い、彼らが海外勢力と結びついて度々中央政府に反旗を翻し、中国の歴史を揺さぶり続けてきた歴史を描く。筆者によれば、日本をはじめとする諸外国の支援を受けた孫文、アメリカと手を結んだ蔣介石、ソ連と結託した毛沢東なども、すべて倭寇と同じ構造を持った勢力であり、さらには現代の香港・台湾の問題、そして近年急増している東京に移住する中国系知識人の動向も、「倭寇」という補助線によって非常に見通し良く理解できる。「倭寇史観」とも言うべき斬新な視点から、東アジア600年の長期的な構造をとらえ直す、岡本史学の決定版だ。

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