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新型コロナウイルス禍 日本と香港の往復はどうなる?

両地の検疫・隔離措置について

新型肺炎のパンデミックにより世界中が入国・入境禁止または制限措置を実施しており、香港においてこの措置は9月18日まで行われることが決まっている。日本と香港を往復する場合は、基本的に香港居民である必要があり観光客の往復は不可能だ。日本と香港を往復した場合、どのような検疫措置が行われるのか、筆者の経験を記しておきたい。      (文と写真・武田信晃)

★香港から日本へ

筆者が利用した6、7月で言えば、日本と香港を往復している航空会社は、成田国際空港か関西国際空港の2つのみに就航することになっており、他空港を利用することはできない。

成田空港の場合、到着後に空港内でPCR検査を行うが、同じ時間帯の別の到着便とPCR検査場の混み具合により、状況によっては機内で一定時間、待機する必要がある。その際、アナウンスで「検査などを含め、プロセスを終了するには数時間かかる場合がある」と知らされる。飛行機から降りると、普段は入国審査に向かう通路にイスが並べられており、そちらに座る。座席は入国の関係から日本人と外国人グループに分けられ、筆者の場合、日本人は1グループ40人だった。

その後、20人ずつで隣にある待機場所に移動する。座席番号順に呼び出され、事前に機内で渡されていた質問票を見ながら職員から各種の質問を受ける。特に、検疫を受ける(自主隔離)場所への移動方法はどうするのかについて質問される。

終了後、再び列に並び、次の受付で名前とPCR検査に必要なデータなどが照合されて検査場所に移動する。鼻に数秒間、めん棒のような検査棒を鼻に入れられるが、奥まで入れられるのでちょっとだけ痛みを感じた。結果は大体2日以内にメールか電話で伝えられることになっている。

その後、待機場所に移動してイスに座って待つ。20人ほど集まった後、入国審査と手荷物検査場に移動。それらが終わった後、職員が待っており、再び一定の人数が集まるまでソーシャルディスタンス(社会的距離)をとりながら待機する。職員と一緒に移動を開始し、大きな待機ホールに向かう。

日本の場合、14日間の自主隔離を行うが、その場所(自宅など)への移動は、公共交通機関を使えない。つまり、ハイヤー、レンタカー、家族・友人に迎えに来てもらうことになる。例えば、到着便が遅く移動する手段がない場合は政府が用意するホテルに移動することになる。ホテル代と提供される食事は無料だ。

ホテルで待機する人は、ホールに用意されている段ボールの簡易ベッドなどで待機する。家族・友人に迎えにきてもらう人、ハイヤーとレンタカーの人はベンチで待機し、「到着したよ」などという連絡が来ると、現場にいる職員に伝える。そして、職員と一緒に空港出口に向かい、空港指定またはレンタカー会社が指定するピックアップポイントに向かう。

職員は迎えに来た家族や友人の車、ハイヤー、レンタカーの送迎バスに帰国者が乗り込んだことを確認し、帰国者は見送りを受けながら空港を離れるという流れだ。ホテル滞在者もチェックアウト後、同じように検疫担当者の見送りを受けるため、公共機関を使って移動することはまず不可能だ。

香港国際空港の出発ロビー。成田空港も似たような感じだった

 

★日本から香港へ

一方、日本から香港向かう場合は、香港国際空港に到着し飛行機から降りた後、職員によって14日間の検疫を受ける(強制隔離)場所が確認される(隔離は到着日からカウントする)。そして強制隔離アプリのインストールとアクティベーション、申請した電話番号の確認、リストバンドの着用などが行われていく。最終の受付場所では、当日から自宅またはホテルでの強制隔離を開始するか、あるいは啓徳(Kai Tak)にある富豪東方酒店(Regal Oriental Hotel)で1泊して翌日から自宅またはホテルでの強制隔離を開始するかが決まる。どちらかになるかは、最終受付をした時の時間によるが、午後の到着便はほぼ確実に富豪東方酒店で1晩過ごすことになる。

最終受付後、入境審査を経て、荷物を受け取り、感染しているかを検査する亜洲国際博覧館(Asia World-Expo)にシャトルバスで向かう。現地では検査キットが渡され、検査棒ではなく唾液を容器に入れて提出するため、日本より楽だ。検体提出後、待機ホールに移動して、名前が呼ばれるまで待つ。ここまでの流れで食事をするタイミングはあまりないのと、混み具合にもよるので、待機時間が1時間のときもあれば、数時間以上にわたるケースもあるため事前に非常食、サンドイッチ、おにぎり、ドリンク類を準備した方がいいだろう 。呼ばれると、隔離12日目に行う2回目の検査キットが渡され、今後の検疫についての説明を受け、陰性であれば、自宅かホテルに移動して強制隔離を開始する。1晩過ごす人は説明後、再びシャトルバスに乗って富豪東方酒店に向かう。こちらも宿泊費、夕食、朝食は無料だ。リーガル系列ホテルなので快適に過ごせる。翌朝、陽性であればそのまま入院し、陰性であれば自宅・ホテルに移動して隔離開始だ。

強制隔離場所ではアプリを起動してから1分以内で家(や部屋)の壁伝いを歩く必要がある。アプリはGPSと連動しており、その場所からずれると隔離場所から抜けだしたことが判明する仕組みだ。日中は衛生当局からリストバンドについているQRコードをスマホを使ってスキャンしなさいという抜き打ち検査のメッセージが来る。当局職員からも2度ほど直接電話がかかってきて、現在の状況の確認や12日目の検査について説明を受ける。14日間は1日2回、検温をして記録しなければならない。

12日目の検体提出は所定の時間と病院に提出する。友人か家族にお願いするか、検体デリバリーサービスを100ドルで提供しているGOGO VANまたはPickuppを利用する。注意したいのは、デリバリーサービスは月~金曜のみであること。火、水曜に日本を出発すると土、日曜に12日目が来るためデリバリーサービス使えないことを覚えておきたい。

陽性であれば即入院だが、陰性であれば最終日にショートメッセージで、「今晩で隔離は終了。リストバンドをはずし、アプリをアンインストールしてください。ご協力ありがとうございました」というメッセージを受け、日付が変われば正式に隔離が終了するという流れだ。

※内容は取材時のもので、予告なく変更される場合があります。本記事による事故・事件などについて一切の責任は負いかねますので、あしからずご了承ください。

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