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香港―芸能

日本―香港間でネット創作された曲『月下貂蝉』

新型コロナウイルス感染症(COVID―19)が流行する中で発表された約3分間の広東語音楽作品『月下貂蝉』は、インターネットを通じて日本と香港を結び国境を越えて創作された。香港にいる張卓立さんが作詞作曲、謝湘銘さんが編曲、日本の東京にいるMOMOさんと高薇清さんが演奏を録音し、さらに香港のネット歌手である林薇娜(ミラ・ラム)さんが歌っている。

『月下貂蝉』は中国の伝統戯曲『関公月下釈貂蝉』を下敷きとし、この物語と歌に出てくる「貂蝉」とは中国の長編歴史小説『三国志演義』に登場する架空の女性だ。楊貴妃、西施、王昭君と並び古代中国4大美女の1人に数えられる。貂蝉は幼少時に市で売られていた孤児で、王允が引き取り実の娘のように諸芸を学ばせて育てられた。王允が朝廷を牛耳る董卓を殺すために16歳の養女・貂蝉を使い、董卓の養子の勇将・呂布と仲違いさせる計画を立てた。貂蝉を巡る感情を利用し両者の関係に弱点をつくって、そこを突いた計画は「連環計」と呼ばれる。

モモ・ティエンさん、林薇娜さん、ミラ・ラムさんはこの曲に歌われた貂蝉の豊富な情緒を表現し、古代女性の繊細さ、怒り、疑惑を見せる。演奏は西洋楽器を使用するが、謝湘銘さんの巧みな演奏技術を活用して全体的に中国の伝統音楽のテーストを帯びている。

 

作詞作曲の張卓立さんは今回の楽曲創作のきっかけとして広東語曲、中華・香港文化に対する見方をこう語っている。

「広東語流行曲はすなわち香港の名曲で、香港の流行文化の結晶でもあります。広東語曲は英語でカントンポップと呼ばれ、日本のJポップ、韓国のKポップと同様に当年地元市場で流行したほかに海外にも輸出され、多くの特色ある作品、歌手、作曲家、演奏者を育んでいます。楽曲は海外の影響を受けていながらも中華文化、嶺南文化を継承しています」

張さんは幼いころから音楽に触れ、6歳からバイオリンを習い、小学6年生から中学1年生の時は合唱団に参加。13~15歳の時は粤劇に触れ、台本や曲目を研究した。

「粤劇は香港文化の1本の根幹であり、舞台を通じて技芸を継承するほか、早くから映画にも進出し、香港の視聴娯楽の基礎をつくり、その後の香港の映画、流行曲、テレビの発展の鍵を握る役割を果たし、香港のメディア、芸能界で多くの人材を育てました。粤劇がなければ戯曲はなく、中華文化、香港文化は精彩を欠くことなると言っても過言ではありません」と語る。

張さんは2019年末から舞台劇の脚本と製作に参入。その際、劇中に挿入する2つの楽曲を2日がかりで探したものの合う楽曲が見つからなかったため、自身でパソコンソフトを使って2つの曲を作ったという。これをきっかけに約20年間途絶えていた音楽への取り組みが再びスタートすることとなった。

作詞作曲:張卓立

メディア業界に8年間従事し、現在も新聞の編集者を務めている。香港珠海学院新聞及伝播学系文学士、香港中文大学文化研究文学修士、香港バプテスト大学媒体管理社会科学修士。ネットメディア「思考香港」「我們的文化根」コラムニスト。

https://www.thinkhk.com/author/697/張卓立.html

編曲:謝湘銘

福建省籍で音楽にゆかりの深い家庭に育ち、祖父や父親から啓蒙を受けた。祖父は中国音楽愛好家で『歩歩高』『賽龍奪錦』などの広東音楽、潮州音楽が好きで、普段も友人らとバンドを組んで演奏していた。父親はプロの作曲家で、作品には中国・西洋音楽が幅広く含まれている。幼少期から各種音楽の薫陶を受けた謝氏は、幼い頃からピアノやバイオリンを習い、高校卒業後は上海音楽学院作曲学部に進んだ。1996年に卒業した後、上海音楽学院でコンピューター音楽の教鞭をとるとともに上海音楽出版社の音楽編集、音楽・映像作品のプロデュースを務めた。2014年に香港に移住し、主にピアノやバイオリンの教育の仕事をするとともに、香港や上海の楽団、歌舞劇に楽曲を提供している。

バイオリン演奏:MOMO(モモ・ティエン)

瀋陽生まれ。4歳で瀋陽音楽院に入りバイオリンを習う。東北大学芸術学院(音楽)バイオリン科を首席で卒業し、2010年に来日。演奏家グループ「響芸」に選抜され、ソロ演奏、オーケストラ、弦楽カルテットなどの演奏活動を行っている。大手自動車メーカーやファッション、ジュエリーなどの企業イベントで演奏パフォーマーとして活躍。NHKの「漢字ふむふむ」、テレビ朝日の「ミュージック・ステーション」などに出演した。

 

ピアノ演奏:高薇清

  4歳から中国吉林省の張哲明氏の啓蒙を受け幼稚園生の頃から正式にピアノを習う。小学校3年生の時に全国少数民族大会で最高賞を受賞。4年生の時に中央音楽学院(北京)で学習を始め、多くの弟子を輩出してきた趙屏国氏に師事。趙氏の弟子の中には世界的ピアニストである郎朗氏も含まれている。その後、吉林省延辺大学、上海音楽学院を経て、2008年に来日。2010年に東京芸術学院ピアノ科に進学。14年に卒後した。

 

歌:林薇娜(ミラ・ラム)

新型コロナウイルス感染症(COVID―19)流行前はショーパブ歌手やストリートミュージシャンとして活動していたが、新型コロナ流行でそうした活動が不可能となり、舞台をネット上に移してYouTubeで音楽を配信し、シンガーソングユーチューバーとなった。幼い頃から歌手になることを夢見て黙々と活動していたが、ショーパブ歌手になる前はボランティアでコミュニティーコンサートなどで歌っていた。

 

 

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