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香港の仕事人(プロフェッショナル)

第100回 コンサート・プロモーター

ひと口に「仕事人」と言ってもその肩書や業務内容はさまざま。そして香港にはこの土地や文化ならではの仕事がたくさんある。そんな専門分野で活躍する人たちはどのように仕事をしているのだろう?  各業界で活躍するプロフェッショナルたちに話を聞く。(文と撮影・武田信晃/写真提供・freez)

スイーツづくりはプロ並みの腕前のLeeさん(筆者撮影)

 

香港でコンサートを開催した外国人アーティストは、日本人を含めたくさんいる。読者の方にも会場に足を運んだ人は大勢いるだろう。海外アーティストのコンサートのプロモーションなどをしている「freez」という企業がある。このコラムの記念すべき100回目は、同社の創業者でもあるプロジェクトディレクター のAdeline Lee氏だ。彼女はこれまでに、GLAY、テイラー・スウィフト、BTSなど数えられないほどのコンサートやイベントに携わってきた。

私が彼女を知って20年ほどだが、コンサートの取材などでお世話になっている。Leeさんがプロモーションしたのは、Clockenflap、ボブ・ディラン、ケイティ・ペリー、ジャスティン・ビーバー、HYDE、BLACKPINK、BTS、エド・シーランなどなど。

クイーンのボーカルも務めるアダム・ランバートと一緒に(写真提供・freez)

 

彼女の名前が入ったビリー・ジョエルのサイン(写真提供・freez)

 

Leeさんは高校の途中からカナダに行き、看護と経営について勉強し、香港に戻ってきた。最初の仕事は有線電視(Cable TV)でセールスやマーケティングの仕事に就いた。「オンラインマガジン、広告の仕事をやっていました。その後、テレビイベントの運営を担当するようになりました。なぜイベントかというと、同局内でモデルエージェンシーのビジネスを始めたからです。これが今の仕事につながっています」。テレビ局は自分たちが抱えるモデルをイベントにキャスティングすることでビジネスを創出することになる。一種のセールスマーケティングビジネスだ。LeeさんはEd Hardy、シュウ ウエムラなどの新製品の販売プロモーションを手掛けた。「想像力が求められるので大変でしたが、楽しかったです」

イベント運営の経験を積んだLeeさんは、とあるショーのプロモーションについてサポートして欲しいという依頼を受ける。「チケット販売、ポスターやプレスリリースの製作、インタビュー調整などをやりましたね」

GLAYのコンサートの様子(写真提供・freez)

 

Leeさんは「ラッキーだった」と謙遜するが、関係したショーでの仕事ぶりが評価され、コンサートのプロモーションの依頼がどんどん増えていく。仕事をこなしていくうちに、バックステージの仕事も担うようになる。例えば、「コンサート機材などのロジスティック、演者の移動と宿泊手配などです」。大物アーティストであれば、ほとんどを彼らの自前のスタッフでやる時もあるが、そうでない場合にも対応した結果、コンサートの開催するために必要なオールラウンダーの知識を身につけた。

大変な仕事量で、早朝まで働くこともしばしばだが、苦に感じたことはない。「ベストを尽くし、仕事を楽しむことが大事だからです。疲れることはありますが、客が喜んでいる姿を見るとやって良かったと思えます」

彼女のキャリアの中で最も厳しかったのが新型コロナウイルスの時だ。海外のアーティストが入境できなくなり「いきなりゼロになりました」

収入源が途絶えたが、ここで看護の勉強をしていたことが役立った。新型コロナの検査に関してのコーディーネーターや救急看護士として働いた。また、コロナ前までは海外のアーティストを中心にやってきたが、香港ローカルの仕事にも携わるようになった。

ブラーのコンサートの様子(写真提供・freez)

 

新型コロナ禍があけた後、コロナの影響でプロモーションのやり方も変わった。「サブスクで音楽を聞く人が増えました。それを踏まえてどうプロモーションをするべきかを常に考えています。例えば、SNSもただアップするのではなく、ターゲットをクリアにして対応する必要があります」

コンサートの成功に向けて大事なことは準備だという。「小さなことでも気になるところがあれば必ず確認作業をします。コミュニケーションは欠かせません。もし、失敗することがあったとしても、次回に活かすことができるかというのも重要です」

実はLeeさんは、幼いころからピアノを習っており、ピアノの先生もしていた。そういう意味で、コンサートのビジネスは彼女にとっての天職ともいえる。これからも海外アーティストが香港でコンサートをするとき、彼女を必要とするアーティストは大勢いることは間違いない。

 

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