米国国務省は先に逃亡犯引き渡し協定など香港と締結されていた3つの二国・地域間協定を暫定停止または中止したが、それに含まれていた海運業者に対する二重課税防止協定の中止によって米国企業の税負担が増えることとなった。
8月21日付香港各紙によると、特区政府は「二国・地域間協定は香港に対する米国の優待ではない」と批判し、このうち海運業者に対する二重課税防止協定の中止によって米国企業は米国と香港の両政府に納税しなくてはならないが、香港企業は米国政府にだけ納税すれば済むと指摘した。香港企業は税務条例23B条により船舶運営収入は香港では免税となっている。
米国企業は二重に納税しなくてはならず、経営コストの増加によって両地の海運業の発展を妨げるとみられている。海運交通業界選出の立法会議員である易志明氏は「目下のところ協定中止による影響はわからない」と述べ、船舶会社は香港の貨物輸送網や中国貨物の再輸出港であることを考慮し、二重課税になるとしても税率が低いため巨額の負担とはならないと指摘。
一方、香港付貨人委員会の林宣武・主席は、米国との間にビジネスが集中している一部の遠洋企業はシンガポールに拠点を移したことを明らかにし「米国のやり方は香港が1国2制度ではなく1国1制度になったと国際社会に向けて宣伝するため」と批判した。

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