中国は安全保障貿易管理の観点から《輸出管理法》、《両用品目輸出管理条例》を施行し、両用品、軍用品、核(原子力)及び関連技術の輸出を厳しく管理している。また一般的な貿易品に対しては、《対外貿易法》にて、国の安全、資源保全等のため、また、国内産業保護、国際金融地位や国際収支バランス確保のために、貨物及び技術の輸出入を制限・禁止することができるとしている。《貨物輸出入管理条例》では、《対外貿易法》に列記される制限・禁止条件に該当する貨物に対する措置実施のスケジュールが規定され、外国からの制限・禁止措置への対抗措置を取ることができると明記されている。具体的な制限・禁止対象の貨物については、以下の各リストが発布されており、不定期に変更されるため注意が必要である。(NAC名南コンサルティング・浜田かおり)
1.両用品目輸出管理目録
商務部 税関総署公布2026年度 《両用品目と技術輸出入許可証管理目録》が2025年12月31日に発布され、2026年1月1日に施行されている。輸入品目と技術リスト、輸出品目と技術リストに分けて列記される。当該目録に列記される品目及び技術を輸出入する場合、当該目録の税関HSコードに該当するかどうかを問わず、両用品目と技術輸出入許可証を取得しなければならない、とされている。 輸出者が輸出許可証に明記された範囲、条件と有効期間内に、単独のエンドユーザーに特定の両用品目を1回輸出できる「個別許可」(1年有効)と、単一または複数のエンドユーザーに輸出できる「包括許可」(3年有効)がある。
また《両用品目輸出管理条例》(国務院令742号 2024年12月1日施行)第十条では、両用品目の仕向国や地域に対して評価・リスク確定を行い特定の管理措置を講じることができるとしている。
2. 輸出入禁止貨物目録
商務部公告2020年第73号 2021年1月1日実施にて《輸入禁止貨物目録(第7回)》及び《輸出禁止貨物目録(第6回)》が発布されている。
2-1. 輸出入禁止貨物
一部の化学品・化学工業製品、水銀を含む電池類、電気回路開閉用機器、水銀を含む蛍光
灯、化粧品・石鹸、殺虫剤、医療機器等。
3. 輸出許可証管理貨物リスト
3-1. 商務部・税関総署公告2025年第89号――『輸出許可証管理貨物目録(2026 年)』(2026年1月1日より実施)
対象品目は43種、輸出企業所在地方商務部門で輸出許可証を申請する。割当管理商品(食肉、原油、綿花等)は割当証明文書に基づき輸出許可証を申請する。加工貿易方式の場合は割当証明文書に輸出契約書が必要。一般貿易・加工貿易・辺境貿易・寄贈貿易方式で自動車・モーターバイクを輸出する場合、一定の許可条件をクリアした上で申請する。
3-2. 商務部・海関総署公告2025年第79号 一部の鉄鋼製品の輸出許可証管理実施に関する公告(2026年1月1日より実施)
一部の鉄鋼及び鉄鋼製品(300品目)が輸出許可証管理目録に追加された。
4.加工貿易禁止/制限貨物リスト
中国国外から材料を無償或いは有償で輸入し、中国で生産加工した製品を国外に輸出する活動を加工貿易として、材料輸入時の関税を免除、増値税を免除或いは保留するなどして優遇を与えているが、環境汚染等影響のある活動に対し、材料輸入や製品輸出を制限或いは禁止することにより統制してきた。禁止類、制限類の商品リスト発布の経緯は以下の通り。
4-1. 禁止類目録
現状2024年第90号文公布のリストに対し不定期に調整が進められている。
・加工貿易禁止類商品目録(2015 年1 月1 日より実施)1871品目が対象。転廠或いは税関特殊監督管理区域内の加工を経る場合は禁止されない旨が通知された。
・2015年第59号、2015年11月10日実施:高エネルギー消耗・高汚染に該当しない11品目が削除された。
・2020年第54号(2020年12月1日実施)国家の産業政策に合致し、高エネルギー消耗・高汚染に該当しないもの、及び高度な技術が含まれると認められる、貴金属、肥料、パルプ、鉄・鋼材等199品目が削除された。
・2021年第12号(2021年6月15日実施):紙製品 税目4801-4816の輸出入が削除された。
4-2. 制限類目録
2015年公告第63号 輸出制限95品目、輸入制限356品目、合計451品目が対象。
信用等級に応じて制限品目の加工貿易を行う企業は保証金の積立が必要。
5. 処罰規定について
税関法において、禁止・制限された貨物の輸出入は密輸行為とされると規定されている。また刑法151条、152条と関連する解釈文書により、密輸行為はその程度に応じて犯罪を構成する可能性が規定されている。また税関の行政処罰についても各文書に以下の列記がある。
・『税関法』(第82条)の規定、及び、『税関行政処罰実施条例』第 7 条及び第 8 条の規定により、国が出入管を禁止または制限した貨物、物品、あるいは、納税しなければならない貨物、物品を運送、携帯、郵送して出入管することは、密輸行為であるとされ、犯罪を構成する場合は刑事責任を追及するとされる。
・最高人民法院・最高人民検察院『密輸刑事事件の審理における法律の適用に関する若干問題の解釈』
第二十一条 許可を得ずに国家が輸出入を制限する貨物・物品を輸出入し、それが犯罪を構成する場合、刑法第 151 条・第 152 条の規定に基づき、国家が輸出入を禁止する貨物・物品の密輸罪等の罪名をもって処罰するものとする。納付すべき税額を脱税し、かつ一般貨物・物品の密輸罪も構成する場合、より重い処罰規定に従って処罰する。(後略)
・『税関行政処罰実施条例』第9条にて、国が輸出入を禁止する貨物を密輸した場合、密輸貨物及び違法所得を没収し、100万元以下の罰金を科すことができるとされている。
・『税関行政処罰実施条例』第 14 条第 1 項の規定:
国家の輸出入管理規定に違反し、輸出入を禁止する貨物を輸出入し、輸出入貨物の荷受人、荷送り人が税関申告時に許可証明書を提出できない場合、輸出入貨物の通関を認めず、貨物価値の30%以下の罰金を科す。
・『税関行政処罰実施条例』第 15 条の規定:
輸出入貨物の品名、HSコード、数量、規格、価格、貿易方式、原産地、発送地、到着地、最終目的地並びにそのほか申告すべき項目が未申告、或いは申告が事実通りではない場合、処罰を与え違法所得を没収する。
・『輸出管理法』第 34 条の規定:
輸出事業者が次のいずれかの行為を行った場合、違法行為の停止を命じ、違法所得を没収する。違法収入が50万元以上の場合は、違法収入の額5倍以上10倍以下の罰金を併科する。違法収入がないか、または違法収入額が50万元に満たない場合は、50万元以上500万元以下の罰金を併科する。情状が重い場合は、営業停止および是正を命じ、さらには当該規制物品の輸出経営資格を取り消す。
(一)許可を受けずに規制物品を無断で輸出すること
(二)輸出許可証に規定された許可範囲を超えて規制物品を輸出すること
(三)輸出が禁止されている規制物品を輸出すること。
・『両用品目輸出管理条例』第39条
輸出者に以下のいずれかの行為がある場合、輸出管理法第34条に基づき処罰する。
(1) 許可を得ずに両用品目を無断で輸出した。
(2) 輸出許可証に明記した範囲、条件や有効期間を超えて両用品目を輸出した。
(3)輸出を禁止する両用品目を輸出した。
(4) 改造・分解して部品やアセンブリ等を経て両用品目の輸出許可を回避した。
(5)本条例第18条に規定する状況において、規定に違反して許可証を使用して輸出した。
(NAC国際会計グループ)
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