トランプ次期米大統領の就任が迫る中、香港ドルの対米ドル・ペッグ制(連動相場制)撤廃が再び話題となっている。1月10日付香港各紙によると、香港金融管理局(HKMA)の余偉文・総裁は9日、HKMAホームページで対米ドル・ペッグ制を支持する論説を寄稿し、併せて市民のいくつかの大きな懸念に対して一つ一つ解説した。地政学的リスクがペッグ制の運用に影響を与える極端な状況につながる可能性があるという一部のコメンテーターの懸念について、余総裁は世界の金融システム間のつながりは深くて広いと信じており、国際金融センターとしての香港自身の金融の安定は地域および国際的な金融の安定にも関係していると指摘。リスク管理は必要だが慌てる必要はないとして「ペッグ制を変更する意図も必要性もない」と改めて強調した。
余総裁は「過去の経験から、ある地域の金融市場が混乱すると、その急速な連鎖反応が巨大な波及効果を生み出し、世界の金融市場の変動を引き起こし、さらには危機を引き起こし、経済や社会生活に影響を及ぼす可能性があることが明確に示されている」と指摘。「香港はアジアで最も重要な国際金融センターである。香港の金融の安定は香港自身の問題であるだけでなく、地域および国際的な金融の安定の鍵でもある。 HKMAは香港の金融の安定性と安全に影響を与える可能性のあるさまざまなリスクを十分に評価し、課題に対応するための十分な能力を備えていることを保証する」と述べた。
また香港のペッグ制は40年以上にわたって実施されており、効果を上げていると強調。「この制度は最も透明で制度化された通貨発行機関モデルを採用しており、実際の運用では厳格な規律を守っている。また、香港の4200億米ドルを超える膨大な外貨準備高は、マネタリーベース全体の約1.7倍に相当し、ペッグ制が円滑に機能することを保証するのに十分な能力を持っている。実際、多くの専門家はペッグ制が香港に最も適した通貨制度であり、金融市場において確固たる信頼性を確立していることに同意している」と説明した。

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