全国人民代表大会(全人代)で香港版国家安全法の立法が決定されたことを受け、米国のトランプ大統領は5月29日、中国本土と香港に対する制裁措置を発表した。
31日付香港各紙によると、トランプ大統領は「中国は基本法と中英共同声明での香港に対する自治の承諾に違反して1国2制度を1国1制度に変えた。香港はすでに十分な自治を備えていない。香港が長期的に有していた誇り高い地位を削いだことは香港市民、中国国民、全世界の人々にとって悲劇だ」などと指摘し、米国が香港に与えていた特殊な地位を取り消すと発表。それに含まれるのは、独立関税区の待遇、ハイテク輸出入規制と旅行地域の特別待遇、犯罪人引き渡し協定が含まれる。
そのほか、直接または間接的に香港の自治を侵食した中国・香港の官僚を制裁、中国の軍と関係のある中国人研究生の入国禁止、米国で上場する中国系企業への監督管理強化、米国と世界保健機関(WHO)との関係停止が挙がっている。官僚への制裁としては特区政府高官、行政会議メンバー、警務処処長、国務院香港マカオ弁公室、中央人民政府駐香港特区連絡弁公室(中連弁)などの官僚が対象で、米国への入国拒否、銀行口座の開設拒否、在米資産の凍結などとみられる。ただし具体的にこれら制裁をいつどのように実施するのか、制裁する官僚や組織には触れなかった。
制裁に対して『人民日報』は論説で「香港の独立関税区の地位は関税および貿易に関する一般協定(GATT)が与えたもの」と強調し、米国の制裁はでたらめと批判した。

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