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香港―経済

香港美食博覧(フードエキススポ)2019、デモ抗議活動による影響も

香港美食博覧(フードエキスポ)が8月15日~19日に開催された。今年はおよそ2000社・団体が出展した。デモ隊による抗議活動により、8月は香港国際空港のマヒでフライトが欠航するなど、一部外国の出展者が一年一度の美食の祭典に間に合わなくなった。日本の果物を販売する出展者は初日の来場者が例年に比べて30 %減少したと述べ、社会のムードが影響しているとみる。ベトナムの茶葉を販売するブースは出展者がキャンセルしたため、カシューナッツを販売する業者に代わった。ブースの代表者はベトナム企業がすでに数万ドルの出展費を払ったことを明らかにした。もともと5社の日本企業が合同出展するはずたったブースは空港の情況から5人の代表のうち1人しか来られず、和牛販売の代表がブースを運営することとなった。

16日には、JETRO主催のジャパンパビリオンによる開幕式が行われ、吉川貴盛・農林水産大臣が来港して出席。来賓の香港貿易発展局(HKTDC)のマーガレット・フォン総裁やベンジャミン・チャウ上席副総裁らとともにテープカットに参加した。ジャパンパビリオンは連続9回目の出展となる。今年は92企業・団体が参加した。香港は14年連続で日本の農林水産物の最大の輸出先であり、昨年の日本の農林水産物及び食品の輸出総額は過去最高の2,115億円(約152億香港ドル)を記録し、前年から12.7%の増加。日本の総輸出額の約4分の1を占めている。内訳は農産物が1,215億円(約87億香港ドル)、水産物が894億円(約64億香港ドル)、林産物が6億円(約4千286万香港ドル)となっている。

今回6回目の出展となるヤマトホールディングス株式会社は、物流機能の紹介だけでなく、香港の飲食業界のネットワークを日本の企業へ紹介するコンサルタント事業を4年前から展開している。ブースでは初日から香港の日本料理レストランのシェフや業界関係者らの商談が続き連日好調だ。グローバル戦略立案推進機能グローバル渉外アシスタントマネジャーの下簗亮一氏は「3、4年前と現在の人気商品は大きく異なる。かつては日本で普通に出回っている商品、食材が人気だったが、今は香港ではまだ見られないレアな商品・食材が人気」と話す。国内では生産農家などの世代交代がおこっているため、海外へ目を向けている若手生産者が増加。ヤマトへの問い合わせも増えているそうだ。「輸出はしたいが、どうしたらいいかわからないという中小企業も増加しているため、近年は県などと組んで海外の輸出取り組みを強化している」と話した。

今回初参加の七福醸造株式会社は、日本で初めて白だしを開発した老舗企業として、日本一の白だしの品揃えを誇る。海外のイベント参加はアジア圏は中国本土に次いで2回目。今回のブース来場者は香港、マカオ、ベトナム、フィリピンなどから主に、レストラン、インポーター、小売販売者といった日本食に携わる関係者で、中華料理に「白だし」を隠し味として使いたいと求めている人も増えているそうだ。七福醸造株式会社代表取締役社長の犬塚元裕氏は「和食以外にも中華、イタリアン、フレンチなど様々な料理に使える。国際都市の香港ならではの幅広い用途を広めていきたい」と語った。香港、マカオ、シンガポール、台湾はライバル企業は多いものの、優先的に拡大を狙っていく。

香港ブースに出展した海産物乾物専門「慶輝堂」は、10年以上、出展している。主に「魚の浮袋」「あわび」「なまこ」の乾物が人気が高く、初日から常連の消費者で賑わいをみせていた。中国圏では、乾物は主にスープにいれたり、炒め物として重宝する。特に人気は乾物のあわび(600グラム)だ。元値は4000香港ドルだが、会場では3200香港ドルで販売する。全体的に1割~2割安く販売しているため、この期間に購入する消費者が多い。売れ行きは昨年と変わらないと同社代表のAnn Tam氏は話したが、中国本土からの来場者数は明らかに変わったという。「昨年は中国本土からきた来場者(バイヤー含む)は3割だったが、今年は1割以下にまで落ち込んでいる。商談はあまり進んでいない。本土からの客が少ないのは大きな影響となる」と話した。

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