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インタビュー

Green Monday 創設者兼 CEO David Yeung (デイビッド・ヤン)さん

プロフィール

コロンビア大学卒業。2018年に気候変動、食料安全保障、健康問題といった問題解決に取り組む社会企業「Green Mondayグループ」を創業。グローバルな視点で持続可能性を訴える Green Monday ムーブメント、常識を覆す「プラントべース専門」の小売兼飲食店チェーンを展開する。 Green Common、最新のフードテックが生んだ「オムニミート(OmniFoods 社)」などのソリューションを束ねたプラットフォームを樹立。この取り組みは世界経済フォーラムとシュワブ財団から評価され “Social Entrepreneur of the Year” を授与。またFORTUNE 誌の 2020 年「”Change the World” Company(世界を変える企業)」、”EY Entrepreneur Of The Year Award”、 Roddenberry Prize”、”Cathay ChangeMakers 2020″、”Ten Outstanding Young Persons Hong Kong”、PETA Asia より”Company of the Year 2019″ などの数々の名誉・表彰を授与。

――会社設立から約10年、現在では世界40カ国・地域で展開していますが、香港では植物肉の人気がますます高まっています。商品開発の背景や植物肉の魅力について聞かせください。

中国をはじめとするアジア諸国では豚肉が圧倒的に多く消費されています。中国で消費される肉の65%は豚肉です。これが温室効果ガスの排出、水の消費、汚染の大きな原因となっています。さらに非人道的な工場での飼育や、抗生物質やホルモン剤の乱用などにより、このサプライチェーンが崩壊するのも時間の問題です。残念なことに2018年末には致命的なアフリカ豚熱(ASF)が席巻し、凄まじい勢いで豚が感染して死亡したため、そのような事態が実際に起こりました。

こうしたことを防ぐためにも、早急に肉の代替品を見つける必要がありました。オムニミートは非遺伝子組み換えの大豆、エンドウ豆、シイタケ、     米を原料としています。コレステロールはゼロ、飽和脂肪とカロリーは3分の2以下、カルシウムは333%、鉄分は50%通常の畜肉より多く含まれています。ホルモン剤や抗生物質は一切使用していません。資源効率とエコロジカル・フットプリントの点でも飛躍的に優れています。そして何よりもアジアでの調理方法を念頭に置いて設計されています。発売以来、シェフや消費者の方々からより健康的で環境にやさしく、味も変わらない代替タンパク質を受け入れていただいています。

――香港での主な事業を教えてください。

グリーンマンデーグループはソーシャル部門と3つのベンチャー部門で構成される多角的なソーシャルベンチャーです。ソーシャル部門では「Green Monday Foundation」という名称で、学校や企業と協力してワークショップを開催したり、植物性の食事を提供したりするなど、環境に配慮したライフスタイルへの関心を高め、需要を喚起するための提言活動を行っています。

ベンチャー部門は持続可能な選択の供給を増やすためのソリューションを提供しています。グリーンコモンは食品小売り・流通部門で、消費者がプラントベースの食事をしたり、プラントベースの食料品を購入することができます。

オムニフーズは食品技術革新部門で、オムニミートシリーズや新たに立ち上げたオムニシーフードシリーズなど、植物性の肉を革新しています。グリーンマンデーベンチャーズは革新的な製品を通じて社会に変革をもたらすことを目的とした、志を同じくするスタートアップ企業への投資を行うインパクト投資部門です。

――アジアの植物性食品業界では最大規模の7000万ドルの資金調達に成功されましたが、調達した資金の使い道を教えてください。また上場の計画はあるでしょうか。

グリーンマンデー・ホールディングスは、今回の資金調達をより革新的な植物性食品の研究開発の強化、生産・流通・サプライチェーン能力の向上、小売網の拡大、F&Bブランドとのパートナーシップ強化など、当社の成長を加速させるために活用します。当社はワンストップの未来型フードハブを構築し、当社の持続可能な植物由来の食品事業を世界市場に展開することを目指しています。植物性食品業界はかつてないほどの成長を遂げており、新規株式公開(IPO)を成功させた企業もあります。私たちはあらゆる択肢を検討し、会社の将来と投資家にとって最善の方法を選びたいと思います。

――近年、人々の食に対する意識はどのように変化していると思いますか。

一般的にプラントベースの食事の人気が飛躍的に高まっていることは、街中にヴィーガン/ベジタリアンレストランが増えていることや、マクドナルドやセブンイレブンとのコラボレーションのように、チェーン店でグリーンメニューが増えていることからもわかります。

IPSOS社が行った調査によると、香港市民の40%が準菜食主義(フレキシタリアン)であり、08年の5%と比較して8倍に増加しています。かつてのような少数派ではなく、グリーン・ダイエットが一般的になりつつあります。このような変化の背景には消費者が健康や社会への影響をより強く意識するようになったことがあります。消費者はウェルネスや健康的なライフスタイルを重視しており、プラントベース     の食生活はそのパズルのようなものです。特に若い世代の消費者は、自分の購買活動の背後にある社会的影響を強く意識しています。

従来の食肉生産は地球環境に大きな負担をかけていますが、プラントベース食生活への移行は地球を救うために誰もが実行できる解決策であり、そのため植物性代替肉     などの植物性製品を試してみたいと考える人も増加しています。

――食肉市場における植物性代替肉の位置づけは、今後どのように変化していくと思われますか。

アジアでは一般の人々が畜産業の環境への影響や持続可能性への関心を高めており、新型コロナウイルス感染症(COVID―19)パンデミックをきっかけに、より安全で健康的な代替品を求めるようになっているため、プラントベース     食品への需要が加速しています。

植物性代替肉の売上高は19年から20年にかけて27%増加しており、植物性代替肉産業は今後も成長を続けると推定されています。このような爆発的な成長により、植物性代替肉はすぐに食肉市場の主要部分の一つに成長するでしょう。

 

――9月に開催された「一帯一路サミット」に参加されましたが、一帯一路市場の今後の可能性についてどう考えていますか。

一帯一路構想は商業的な協力関係に大きな可能性をもたらし、国境を越えた投資やサプライチェーンの構築を促進します。これは海外進出を希望する企業にとって非常に有益であり、国境を越えた関係が緊密になることで、企業は海外でより高い効率性を実現することができます。クロスボーダーの関係を緊密にすることで、企業は海外でより高い効率性を得ることができ、政策やネットワークを通じて企業のより早い成長と機会拡大に貢献できるため、市場の可能性は大きいと思います。

――中国の植物性代替肉産業に対する政策的支援はあるのでしょうか。また中国市場での今後の事業について教えてください。

中央政府は公害削減や肥満対策のために、2030年までに肉の消費量を半分にするというガイドラインを発表しています。中国の膨大な人口のために持続可能な食産業を作るために、植物性代替肉産業を支援する政策を検討してくれることを期待しています。

昨年、中国市場においては天猫への参入とグリーンコモンの開設を行いました。来年には上海に2店舗、広州に1店舗のグリーンコモンがオープンする予定です。現在、広州に新工場を建設中で、生産を加速しています。将来的にはより多くのグリーンコモンをオープンし、中国の消費者にプラントベース     のライフスタイルと地球にもたらす恩恵を体験してもらいたいと考えています。中国は世界最大の人口を抱えています。グリーンマンデーがより多くの中国の人々にプラントベース     のライフスタイルを取り入れてもらうことができれば、気候変動を食い止め、世界をより良い方向に導くための大きな助けとなるでしょう。

――日本市場にも今年から進出していますね。具体的な事業展開についてお聞かせください。

私たちは日本の外食産業や小売業のパートナーとの関係を築くことで、積極的に日本市場を拡大しています。2foods社と提携し、同社のカフェやフードテックパークで私たちの製品を紹介していますし、世界一のヴィーガンレストランの称号をとったレストランとも提携しています。また、Oisixでオムニミートを発売し、私たちの植物性代替肉を日本の消費者にもっと身近に感じてもらえるようにしました。今後も持続可能で健康的な代替食品を日本の消費者の皆様にお届けできるよう努力を続けていきます。

――日本でのビジネス拡大のために、どのようなパートナーを求めていますか?

より健康的で環境にやさしい食生活を推進することに関心のあるあらゆる組織とのパートナーシップは、グリーンマンデーにとってだけでなく地域社会にとっても有益です。私たちの当初の目標は、世界をより持続可能な食生活やライフスタイルへとシフトさせることです。私たちは、マクドナルド、スターバックス、タコベルなどのレストランチェーンと提携し、プラントベース食品をより身近に感じられるようにしました。企業でもレストランでも、同じような考えを持ち、変化を求める組織であれば大歓迎です。気候変動に立ち向かうために、皆で力を合わせて頑張りたいと思います。

【筆者・楢橋里彩】NHK地方局キャスター、ディレクターを経て、中国大連電視台アナウンサーに。その後香港で『香港ポスト』にて企業トップやビジネスリーダーのインタビューなど担当。

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