増値税は、中国境内での貨物・サービス・無形資産・不動産の販売、及び、貨物の輸入に対し企業や個人に課税される流通税です。増値税法第十条にて、国内流通時の課税率は13%、9%、6%の三種類に集約されています(一部の免税取引や簡易税率3%の取引を除く)。一方、輸出貨物及び、国内の企業や個人が越境販売するサービス・無形資産は税率を0とするとし、第三十三条に、貨物輸出或いはサービス・無形資産の越境販売で0税率が適用されるものについては、主管税務局にて還付(免除)税額を申告するとあります。但し、還付できない取引や還付審査条件を満たせないケース、還付率により負担した税額の全額が還付されるわけではない商品もあります。以下に、貨物輸出業務に関する増値税の還付取扱について説明します。(NAC名南コンサルティング・浜田かおり)
1. 貨物輸出業務に対する増値税政策
輸出業務には以下3通りの増値税の政策のいずれかを適用します。
1-1. 輸出0税率で還付
輸出段階で免税、輸出前の増値税負担を還付する。還付の計算方法は免除控除還付若しくは免除還付。適用条件には税関で輸出通関申告したものであることと、規定通りに輸出貨物代金を入金したことが含まれています。
適用範囲には以下が含まれます。
(1) 免除控除還付
製造業の自社製造貨物及び自社製造と見なす貨物の輸出
(その他、リスト企業製造業の非自社製造製品、貿易会社の自社研究開発無形資産等の項目を省略します)
(2)免除還付
貿易会社或いはその他の組織による貨物の輸出
(外部購入のサービス或いは無形資産の輸出を省略します)
ここで、製造業とは生産能力を有する納税人とされ、実務的には製造販売の売上全体に占める割合が50%を超える企業となります。輸出還付業務に際して企業はまず製造か貿易のいずれかで輸出還付備案(届出)を行う必要があり、製造と貿易の輸出還付業務を同時に進めることはできません。このため、製造業において通常免除控除還付を申請しつつ、外部購入貨物の輸出が発生する場合に、自社製造製品と見なされないならば免除控除還付申請はできず、次の「輸出免税で還付無」を適用する必要があります。
1-2. 輸出免税で還付無
輸出段階で免税、輸出前の増値税負担を還付しない。一般貿易輸出免税、来料加工貿易免税、間接輸出免税、小規模納税者輸出を含む。
適用範囲には、次が含まれます。
・増値税の小規模納税人が貨物輸出する場合
・ソフトウェア製品(税関HSコードが9803の貨物。貨物実体が無くオンラインで販売する場合は、商務部門での輸出契約登録が必要)
・使用済み中古設備で購入時専用発票/税関輸入増値税納付証明を未取得のもの
・製造業の外部購入製品の輸出で、自社製造製品と見なして還付可能の対象外となるもの
・貿易会社の輸出で、その仕入時の発票が普通発票であるもの
1-3. 輸出課税で還付無
輸出課税とは、国が輸出を制限或いは禁止する一定範囲の貨物を輸出する場合に、輸出段階を国内販売と同様に取扱い課税し、輸出前の増値税負担を還付しない。輸出還付率0の貨物に適用する。適用範囲には、以下が含まれています。
・国務院の決定により還付取消となった貨物を輸出する場合
・輸出企業の自社生産/商品購入が虚偽である場合
・規定の期限までに免税申告が完了しないか、税務当局により免税が認められない場合
・来料加工の委託加工業務
・自社名義の輸出で、品質・入金責任を負わず還付が認められないもの
・購入後直接輸出した貨物で、仕入時の合法有効な証憑が無いもの
※輸出通関単の無い郵送貨物輸出も還付や免税が認められず、課税となります。
2. 輸出0税率貨物の増値税還付
貨物の輸出或いはサービス・無形資産の越境販売に対し、輸出0税率で還付を適用する場合、国務院の規定する輸出還付率に基づいて、次の2つの還付計算方法のいずれかで還付税額の計算を行うこととされています。
2-1. 免除控除還付
輸出段階で増値税課税を免除し、対応する仕入税額を納付すべき増値税額から控除し、控除しきれない部分を還付するという計算方法で、以下の手順で計算します。
(1) 納税額=国内販売に係る売上税額-(仕入税額-控除還付不能税額)
(2) 控除還付不能税額=(輸出FOB価格-免税購入原材料価格)×(13%-還付率)
(3) 免除控除還付税額、即ち還付税額の上限額の計算
免除控除還付税額=(輸出貨物FOB価格-免税購入原材料価格)×還付率
(4) 還付税額と免除控除税額の計算
未控除仕入税額≦(3)免除控除還付税額 の場合、
還付税額=未控除仕入税額、免除控除税額=免除控除還付税額-還付税額
※免除控除税額は、増値税の付加税費の計算ベースとなります。
未控除仕入税額>(3)免除控除還付税額 の場合、
還付税額=(3)免除控除還付税額、免除控除税額=0
※免税購入原材料価格は、年度の増値税確定申告において、実際消耗による“分配率”に基づき計算されることとなっており、前年度の分配率実績が当年度の計画分配率となり、免税購入原材料価格の計算に用いられるため、上記(2)及び(3)の、“-免税購入原材料価格”の部分は“×計画分配率”に置き換えられます。
2-2. 免除還付
輸出段階の増値税課税を免除し、対応する仕入税額を還付するという計算方法。計算式は次の通りです。
還付税額=仕入価格×還付率
還付率が仕入時の課税率(例:13%)より低い場合、差額部分は原価に算入する必要があります。(2026年第11号公告第5条(3))
輸出免税で還付無という政策を適用する場合、対応する仕入税額は控除・還付が認められず、仕入原価に算入する必要があります。(2026年第11号公告第6条(2)1.)
輸出企業は還付を放棄し免税とするか、免税を放棄して課税することもできるが、その放棄した輸出業務は36か月の間、再度還付或いは免税を適用することはできないとされています。(増値税実施条例第49条)
3.還付率把握の重要性
輸出貨物の対応する増値税仕入税額を還付する政策の主な目的は、国外の企業が中国の増値税を負担する必要が無いようにし、輸出商品が純粋な税抜き価格で国際競争に対応するためでもあるはずですが、実際には貿易政策を適時に反映したものとなっており、課税率より還付率が低く設定される商品もあり、且つ還付率は不定期に変更されます。
各商品の還付率は国家税務総局のウェブサイト(出口退税率查询)の他、輸出企業自らの電子税務局にログインして確認することができます。
課税率より還付率が低い商品については、増値税の不還付分が発生し、これを輸出業務の原価に計上することとなるため、還付率の把握は商品の価格見積及び粗利益率の管理に直接影響することから、還付率とその変動をタイムリーに把握することは、輸出業務を行う企業に取り重要な要素となります。
4. 還付率変更通知
財政部 税務総局公告2026年第2号にて、「太陽光発電等製品の輸出増値税還付の調整に関する通知」が発布されており、太陽光発電等の製品249品目に対し、2026年4月1日から輸出増値税還付を取消すとしたほか、電池製品22品目に対し、2026年4月1日から12月31日までの間、還付率を9%から6%に引き下げるとし、2027年1月1日より、輸出還付を取消すとしています。還付率の変更実施は輸出通関単に記載される輸出日に基づくこととなります。
4月1日より還付が取消となる「太陽光発電等の製品249品目」には、PVC及びポリマー類、陶器、厨房用品、ガラス製品等が含まれています。
還付を取消すとは即ち、還付率0となり、輸出業務の3通りの税収政策の内、輸出課税で還付無、つまり国内販売と見なして以下のように販売税額を計算しなければなりません。この時、輸出通関申告価格は税込み価格となることに注意が必要です。
販売税額=(輸出貨物FOB金額の人民元換算額)÷(1+課税率)×課税率
一方、仕入税額は転出する(=原価に算入する)必要はなく、仕入控除が認められます。
(NAC国際会計グループ)
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