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中国企業の対外進出関連税務について(3.国外所得に対する税)

中国企業による海外進出において、国外の所得に関する中国税務の取り扱いについて紹介します。(NAC名南コンサルティング・浜田かおり)

1.中国居住者企業の国外所得に対する中国の税制

中国の居住者企業(中国に登録し、中国で経営活動を行う企業)は、国内外で取得する所得に対し企業所得税を納付するものとされており、企業の国外における貨物の販売、役務の提供、財産の譲渡による所得や、国外源泉の利益配当、利息、賃貸、特許使用料、受贈他による所得は、規定に基づき合理的な支出を控除した後の金額をその企業の国外における課税所得として中国で課税計算することになります。国外に、独立納税拠点としての法人ではなく分子機構を設置した場合、その国外所得を中国国内に回収するかどうかを問わず国外における課税所得として計算します。もし、国外に独立法人を設立し、国外で納付済みの所得税性質の税金がある場合、中国で納税すべき税額から控除する政策に基づいて控除することが認められ、直接控除と間接控除の計算方法のほか、簡易弁法計算による控除があります。

2.居住者企業の国外所得とは

2-1. 所得の源泉地は各項目に応じて次の通り確定される。

(1) 貨物販売: 取引活動の発生地

    (2) 役務提供: 役務の発生地

    (3) 財産譲渡: 不動産はその所在地、動産は譲渡企業・機構・場所の所在地、権益性投資

資産は投資先企業の所在地。

    (4) 配当、利益等権益性投資所得: 配当する企業の所在地

    (5) 利息、賃貸料、特許使用費:支払い・負担する企業・機構・場所の所在地

    (6) その他: 国務院財政部、税務総局により確定

2-2. 所得の実現年度

・ 国外の配当利益が実際の受領日と投資先による配当決議日が異なる納税年度である場合、投資先の配当決議日の所属年度で国外所得を確定する。

・ 利息・賃貸料・特許使用費・財産譲渡収入が契約に約定する支払日の当年度に受領できない場合、契約に約定する支払日の所属年度で国外所得を確定する。

2-3. 所得の計算

・ 国外税額直接控除を適用する課税所得額を計算する時、国外で直接納付した税額を足し

戻した税前所得とする。

・ 直接納付した税額を足し戻した所得のうち配当・利益所得に属する部分は、国外税額間接控除を適用する国外所得は、その国外所得に間接的に負担する税額を足し戻して計算したもの(その国外配当・利益所得の税引き後利益とSの直接納付及び間接負担する税額の和)とする。

3.居住者企業の国外課税所得額の計算

居住者企業の国外を源泉とする配当利益等の権益性投資による収益、及び利息・賃貸料、特許使用費、財産譲渡等の収入に対し、企業所得税法及び実施条例等の規定に基づき、当該収入に関連する各種の合理的な支出を控除した後の金額を課税所得額とする。

・ 国外課税所得額の計算において、国内外所得の獲得のために国内外で発生した共同支出(国外所得に関連するが国外の原価費用支出に計上していない営業費用、管理費用、財務費用等の支出)を、国内、国外の課税所得の間で合理的な比率で分担して控除する。

国外の国(地域)毎に下記項目のいずれか或いは総合の比率で分担し、更に国・地域内で各機構の所得に応じて調整する。これらの分担比率は確定後主管税務機関に備案し、合理的な理由なく変更することはできない。

(1) 資産比率

  (2) 収入比率

  (3) 従業員給与支出比率

  (4) その他の合理的な比率

4.国外分子機構の課税所得額の計算

4-1. 居住者企業の国外に設立した、独立納税計算しない分子機構の国外源泉所得について、収入総額から収入に関する各種の合理的な支出を控除した後の金額を課税所得額とする。分子機構には利益配当昨日が無いため、国外分子機構が獲得した所得を中国に回収するかどうかを問わず、所属年度の課税所得に算入する。

4-2. 合理的な分担計算上国外分子機構に属さない支出は調整しなければならない。

4-3. 国(地域)別の控除法として、同一国(地域)内の複数分子機構同士で課税所得のマイナスを相殺してもよいが、国内或いは他国(地域)の課税所得と相殺してはならない。

 4-4. 企業の同一納税年度における国内外所得総額がプラスの場合、その国外分子機構に発生した欠損は上述の欠損補填制限により生まれる未補填部分に対し、今後当該分子機構の欠損補填期限5年の制限を受けない。

5.国外所得税の直接税額控除

  5-1. 企業が国外の営業利益に対し国外で納税した企業所得税、及び国外源泉或いは国外で発生した配当利益、利息、賃貸料、特許使用費、財産譲渡等の取得により国外で源泉納付された所得税性質の税金は、控除限度額の範囲内で、以降5年間に渡り、当年度控除限度税額控除後の金額を控除できる。控除限度額の計算は以下の通り。

  控除限度額

=中国国内外所得の企業所得税法及び実施条例に基づき計算した納付税額総額

× ある国(地域)における課税所得額 ÷ 中国国内外課税所得総額

  5-2. 国(地域)別に計算するか、国別に計算せず、財税[2009]125号第八条に規定する税率に基づき個別に国外所得税税額と控除限度額を計算することもでき、いずれかの方法を選択後、5年間は変更することができない。選択を変更した時に上記規定に基づき控除未完の残額は規定された残りの期間で変更後の限度額内において控除できる。

  5-3. 税額控除には国外税務機関より発行された税金所属年度の納税証憑が必要となるが、納税証憑の受領が翌年の5月31日の確定申告期限を過ぎている場合でも、当該国外税額は遡及して計算できる。

6.国外所得税の間接税額控除

  6-1. 居住者企業がその直接或いは間接的に支配する外国企業より分配される国外源泉の利益・配当等の権益性投資収益について、外国企業が国外で実際に納付した所得税税額のうち、当該収益が負担した部分について、居住者企業の国外所得税控除税額として控除限度内で控除することができる。

6-2. 居住者企業が国外投資収益に対し間接的に負担する税額とは、持ち株条件と階層の規定に符合する外国企業の配当する利益のうち、その最下層の外国企業から一つずつ上層の企業により負担する税額を計算するものとし、計算公式は以下の通り。

当該階層企業の納税する、一階層上の企業(親会社)より負担する税額

=(当該階層企業の利益及び投資収益により実際納付した税額

+当該階層企業が間接的に負担した税額)

×当該階層企業により一階層上の企業に配当した利益 ÷ 当該階層企業の税引後利益

・当該階層企業とは、配当を実際に行う国外の子会社

・当該階層企業が利益と投資収益に対し実際納付する税額とは、当該階層企業が所在国の税法により利益に対し納付した企業所得税と、投資先子会社所在国において取得した利益等に対し源泉控除された所得税。

7.中国の居住者企業が国外で購入する貨物や役務の支出に対する損金算入

・ 居住者企業が国外で購入した貨物或いは役務(企業の従業員による国外出張、会議等の業務活動を含む)で発生した支出は、企業所得税の課税所得計算時、損金算入することができる。

・ 損金算入の証憑として、収入の取得に関わる合理的な支出の実際発生を証明することができるものが必要となり、当年度の確定申告期限までに取得する必要がある。契約協議文書、支出根拠、支払証憑等を調査に備えて保管する。

8.国外所得税の簡易税額控除弁法(定率計算)

・ 国外で取得した営業利益及び国外税額間接控除可能な配当利益取得について、源泉国(地域)の納税証明があるものの、真実・正確な納税すべきで且つ納税済み税額として客観的に証明できない場合、その直接或いは間接税額が所得源泉国の実際有効税率が我が国法定税率の50%以下である場合を除き、国外課税所得の12.5%を控除限度額として税額控除可能。超える部分は控除できない。

・ 企業の国外所得で、財税[2009]125号第十条第(一)項及び第(二)項の規定に符合する場合、簡易計算弁法に基づき税額控除計算を行うことができる。企業は確定申告期間内に、税務局に国家税務総局公告2010年第1号第30条に規定する備案資料を提出する。

・ 持株比率が20%に満たない国外子会社から取得する配当、利息、賃貸料、特許使用費、財産譲渡所得により所得源泉国で直接納付する源泉所得税額は、直接税額控除規定に基づき税額計算を行うものとし、簡易弁法計算を適用しない。

9.国外所得税の簡易税額控除弁法(“ホワイトリスト”)

9-1. 企業の国外で取得した営業利益所得及び、国外税額間接控除条件に符合する配当所得の、所得源泉国(地域)における法定税率が我が国法定税率25%より明らかに高い場合、直接25%で控除限度額を計算する。

9-2. 法定税率且つ実際有効税率が明らかに中国の税率より高い国家をホワイトリストとする。目下、アメリカ、アルゼンチン、ブルンジ、カメルーン、キューバ、フランス、日本、モロッコ、パキスタン、ザンビア、クウェイト、バングラデシュ、シリア、ヨルダン、ラオスを含む。

(NAC国際会計グループ)
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