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中国企業の対外進出関連税務について(1.輸出還付)

中国の一帯一路政策の下、また貿易摩擦の激化などにより、中国企業の海外進出が増加の傾向にあります。中国に進出した日系企業の中にも、香港や日本の親会社との商流だけではなく、アジアや欧米の海外グループ拠点とのサプライチェーン構築や、中国からの投資を検討することがあります。ただ、制度上は、海外進出促進政策の一方で、対外投資プロジェクトの認可手続きや外貨管理の制限は依然としてあり、中国企業の海外進出は簡単ではないと思われます。中国企業による海外進出に関わる税制のうち、まず対外輸出に関わる税還付関連政策と還付申請操作関連の規定について紹介します。(NAC名南コンサルティング・浜田かおり)

1.対外輸出に関わる税制

1-1. 輸出に関わる税制

(1) 生産企業の輸出貨物還付(免除)政策

・対象:生産能力(加工・修理能力を含む)を有する企業或いは個人事業者

・政策:生産企業が自社生産貨物*1及び自社生産貨物とみなす貨物を輸出する場合、及び、加工・修理役務を提供する場合、並びに、リスト企業*2が非自社貨物を輸出する場合、増値税を免除し、対応する仕入税額は課税額から控除し(増値税徴収即還付、先徴収後還付政策の課税額を除く)、控除しきれない部分は還付する。

*1:自社生産とみなす貨物、及び*2: リスト企業:《財政部 国家税務総局 輸出貨物役務の増値税と消費税政策の通知》(財税[2012]39号)添付4を参照

生産企業の増値税還付(免除)を実行する輸出貨物が消費税の課税商品に該当する場合、消費税を免除する。購入し輸出する貨物である場合、前の取引段階で徴収された消費税を還付する。

・条件:設立登記、税務情報確認、対外貿易経営者備案を行った生産企業。対外貿易経営者備案未了でも、生産した貨物の輸出を委託する生産企業も対象となる。

(2) 貿易企業或いはその他の企業の輸出貨物還付(免除)政策

・対象:生産能力を有しない輸出企業(対外貿易企業と称する)或いはその他企業

・政策:対外貿易企業或いはその他の企業が貨物、役務を輸出する場合、増値税を免除し、対応する仕入税額は還付する。貨物購入時に消費税課税商品に該当する場合、前の取引段階で徴収された消費税を還付する。

・条件:設立登記、税務情報確認、対外貿易経営者備案を行った対外貿易企業或いは、その他の企業が自ら輸出するか或いは輸出を委託する場合。

(3) 対外投資に関連して輸出する貨物に対する還付(免除)政策

・対象:対外投資に関連して貨物を輸出する企業

・政策:中国企業が対外投資として貨物を輸出する際、増値税還付(免除)政策を実行する。自社製造製品が消費税の課税商品に該当する場合、消費税徴収を免除する。購入時に消費税が課税された場合、前の取引段階で課税された消費税を還付する。

・条件:設立登記、税務情報確認、対外貿易経営者備案を行い、自ら輸出するか或いは輸出を委託する企業或いは個人事業者。並びに、設立登記、税務情報確認を行ったが、対外貿易経営者備案未了の場合で、生産企業の対外請負に関する輸出貨物にも本政策を適用する。

1-2. クロスボーダー課税役務のゼロ税率或いは免税政策

(1) 増値税ゼロ税率を適用する課税行為

・対象:増値税ゼロ税率を適用する課税行為を提供する企業と個人

・政策:中国企業が国際運輸サービス、航空運輸サービス、国外企業に提供する完全に国外で消費される*1研究開発サービス、契約エネルギー管理サービス、設計サービス、視聴番組(作品)制作および発行サービス、ソフトウェアサービス、回路設計と検査サービス、情報システムサービス、業務プロセス管理サービス、オフショアアウトソーシングサービス、技術移転及びその他規定されるサービスに対し増値税ゼロ税率政策を適用する。

*1:完全に国外で消費されるとは、

①サービスの実際受益者が国外にあり、且つ、国内の貨物及び不動産に関わらない。

②無形資産は完全に国外で使用され、且つ国内の貨物及び不動産には関わらない。

③財政部及び国家税務総局に規定されるその他の情況。

・条件:増値税ゼロ税率課税サービス提供者は、輸出還付(免除)備案手続き後

初めて増値税ゼロ税率課税サービス還付(免除)を申告することができる。

1-3. 輸出還付手続き管理規定

(1) 輸出還付(免除)備案

政策:企業は初回の輸出還付申請時、所在地の主管税務局にて輸出還付(免除)備案手続きを実施する。《輸出還付(免除)備案表》の記入時、還付税額の受取銀行口座は、税務登記時に税務局に届け出た銀行口座の内の1つでなければならない。

2)輸出還付申告

 輸出企業は貨物販売の翌月に増値税納税申告を行う。貨物の輸出通関日(通関申告書に記載された「輸出日」に準じる)の翌月の増値税申告期限までの間に、主管税務局にて輸出還付(免除)を申告する。当年度の申告期限の最後は翌年の4月30日であったが、2020年1月1日より、提出書類が揃わないものについて、この期限を越えて申告することが可能となっている。

申告資料:

(1)生産企業

電子データの他、A《免除控除還付申告まとめ表》、B《生産企業輸出貨物役務免除控除還付申告明細表》、C輸出貨物通関単、輸出証憑。委託輸出貨物の場合、受託者の主管税務局が発行した代理輸出貨物証明書。

消費税の還付を申請する場合、更に《生産企業非自社貨物消費税還付申告表》、消費税専用納付書、委託加工回収消費税源泉徴収納付証憑等。

(2) 貿易会社

電子データの他、A《対外貿易企業輸出還付仕入明細申告表》、B《外貿企業輸出還付輸出明細申告表》、C輸出貨物通関単、増値税専用発票、税関輸入増値税専用納付書等の証憑。委託輸出貨物の場合、受託者の主管税務局が発行した代理輸出貨物証明書。

消費税の還付を申請する場合、更に消費税専用納付書、税関輸入消費税専用納付書等。

(3) 輸出還付備案帳票管理

政策:輸出還付申請後15日以内に、以下の備案帳票を保管し申告時間に沿って帳票リストを作成し税務局の検査に備えなければならない。

①輸出企業の販売契約

②輸出貨物の運輸帳票(B/L、エアウェイビル、鉄道運送証憑、郵送証憑等、運送引受企業が発行した運輸証憑及び発票)

③輸出企業の通関委託先企業との委託通関契約書等の証憑及び発票。

これらの証憑が無い場合、同様の内容を示す類似の証憑も可能とされ、輸出企業により5年間保管が義務づけられている。

(4) 輸出貨物代金の入金について

 企業は還付(免除)申告を行う輸出貨物の代金を税申告期限までに入金しなければならないとされているが、《入金したと見なす根拠資料リスト》1に該当する場合、資料を検査に備えて保管すれば良いとされている。

輸出還付申請時、輸出貨物代金の入金についても報告が求められるケースがある。輸出還付(免除)管理類別において四種の納税者2を除き、企業が深刻期限を過ぎた後に還付申請を行う場合に、税務局により入金資料が虚偽であるなどの情況を発見されない限り、入金報告を行う必要はなく、根拠資料を検査に備えて保管すれば良い。税務局が規定に基づき入金情況を検査する必要がある場合、企業は税務局の要求通りに入金に関わる根拠資料を提出しなければならない。

*1: 国外市場の変化や、商品品質問題等各種原因に応じて準備すべき根拠資料が示

されている。(国家税務総局公告2022年第9号文添付1)

*2: 納税信用等級がD級、前年度還付申請書類提出を拒絶、前年度輸出還付規定違反がある、前年度税務規定違反がある 等に該当する企業を指す。

(NAC国際会計グループ)
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