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インタビュー

生命健康科学分野の日系企業 香港視察ミッション インタビュー④ 株式会社 Yolidoli

特区政府香港投資推進局(インベスト香港)は駐東京香港経済貿易代表部と合同で、52528日に日本企業を招いて香港視察ミッションを実施した。製薬、医療・健康機器、バイオテクノロジー、ヘルスケア、生命健康科学(Life & Health Sciences)分野の日本企業を対象に香港の最新のビジネス環境を視察したもので2回目の開催となる。日本から13社参加した。インタビュー第4弾は、医療とテクノロジーを融合し、国境を越えた高品質な医療アクセスを提供する株式会社 Yolidoli代表取締役社長 船曳陸斗さんに話を伺った。(聞き手 編集部 楢橋里彩)

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株式会社 Yolidoli代表取締役社長 船曳陸斗さん

【プロフィール】2024年大学院在学中に株式会社yolidoliを創業。訪日外国人向けに医療予約・通訳・決済を一括支援する国際医療サービスを展開し、日本の自由診療をアジア市場へ届けている。

――会社を設立したばかりで稼働は今年に入ってからだそうですね。御社の主な事業について教えてください。

大学院で医療と工学を学ぶ中で、日本の高度な医療に対する海外からの関心の高さを感じたことがきっかけです。一方で、言語・文化・制度の壁により、外国人にとって日本の医療は非常にアクセスしづらい現状がありました。そこで、訪日外国人がスムーズに医療を受けられる仕組みをつくりたいと考え、起業しました。外国人患者が望む医療ツーリズムのニーズは「安心・高品質・負担の少ない対応」です。具体的には、精密な人間ドックやがん検診、美容や再生医療など、日本ならではの信頼性の高い自由診療を、わかりやすい情報と丁寧なサポート付きで受けたいという声が多くあります。

私たちは、海外から日本に医療を受けに来る外国人向けの医療ツーリズムの予約と現地決済をサポートしています。24年に設立し、本格的に稼働したのは今春からで、まだ立ち上がったばかりです。

主な顧客は中国本土からの方々で、実に80~90%を占めています。この短期間で、ここまで増えるのは想定していませんでしたが、観光業や航空業などの代理店と連携をしてここまで成長しました。

ーー香港視察に参加した理由は何でしょうか。

香港は医療が発達しており、特に日本の高品質な医療を求めるニーズがあります。この視察を通じて、香港の医療市場と直接つながり、現地のリアルな声を聞くことが重要だと考え参加することを決めました。

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「アジアサミット オン グローバルヘルス」会場の様子

――視察を終えた感想をお聞かせください。また新たな課題はありますか。

香港は全体として医療への信頼度が高く、特に検診やシンプルな治療には十分な体制が整っていると感じました。一方で、再生医療や自由診療の一部では規制や選択肢に限りがあり、日本の医療との補完関係が築ける余地を強く感じました。課題としては、日本側の価格体系や情報提供の不透明さが、信頼獲得の障壁になりうる点が挙げられます。

――香港市場における医療ニーズについて、見解をお聞かせください。

香港では、基本的な医療は国内で完結できる一方、再生医療や高度な自由診療分野には海外に目を向ける傾向があります。当社に相談される方も、専門性が高く、信頼性のある医療を希望する富裕層が中心です。今後は、日本の技術優位性がある分野に特化し、香港との相互補完的な医療アクセスを構築していくことが期待されます。海外の患者は、質の高い医療を求めており、私たちのサービスがそのニーズに応えることができれば、顧客を増やすことができると信じています。現地の医療機関とのネットワークを構築することも重要だと考えています。

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「アジアサミット オン グローバルヘルス」会場の様子

――日本の医療が抱える課題はいかがでしょうか。

日本の医療は保険診療が中心で、自由診療が少ないため、インバウンド慣れしていないという課題があります。文化や言語の違いがある中で、患者が抵抗感を持つことが多いです。また、医療機関によっては、外国人患者の受け入れに関する経験が少ないため、スムーズな対応が難しいこともあります。私たちは、こうした課題を解決するために、多言語対応のサポートを強化し、窓口業務をアウトソーシングする形で効率化を図っています。

――タイやシンガポールなどの競合国と日本の違いは何でしょうか。

タイやシンガポールも医療ツーリズムの先進国ですが、日本の医療は特に高度な技術を持っています。例えば、日本では癌治療に関して、世界で唯一の機器を使用することができ、放射線治療においても高い安全性が確保されています。韓国や香港では、規制が厳しい治療法があり、日本の医療が提供する質の高さをアピールすることが競争優位につながると考えています。

――中長期的にどのような展望を持っていますか。

中国本土を中心に香港や東南アジア市場への展開を進めていきたいと考えています。特に、中国では予約や支払いの電子化が進んでおり、そのニーズに応える仕組みを構築したいです。また、関東・関西の医療機関との連携を強化し、大学病院とも協力関係を築いていく予定です。最終的には、国際的な医療アクセスをよりスムーズにするためのプラットフォームを構築し、医療の圧迫を軽減できるよう貢献したいと考えています。

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