トランプ米大統領は、イランによるホルムズ海峡の封鎖をとても予期していたとは思えません。いわゆる「出口戦略なき」戦闘でした。しかもイラン・米国で和平交渉中に戦闘を仕掛けてきた訳ですから、イランが「アメリカは信用できない国家」と言われても仕方ありません。また原油価格の高騰で日経平均株価やハンセン指数が急落したのも、とんだトバッチリでした。(ICGインターナショナル代表・沢井智裕)
1 原油価格の高騰でインフレが定着
イランだけでなく、世界のほとんどの国家が一人の人物の為に「アメリカは信用できない国家」と考えるようになりました。もちろんアメリカでのトランプ氏の支持率が30%台に下落していることからもアメリカ国民も犠牲者なのかもしれません。
米CNNによりますと、トランプ氏の常軌を逸した言動に「SNSの投稿をめぐり、大統領は精神衛生状態の検査を受けるべきだと批判する声が噴出している。」と報道される始末です。金融市場もトランプ氏を信用していません。直接的な原因は、ホルムズ海峡の封鎖による原油価格の高騰ですが、トランプ氏の政策に対して金融市場が「ノー」を突き付けたと言っても過言ではないでしょう。
日経平均株価は、2月の高値から3月29日までに13.6%下落、香港のハンセン指数は、1月の高値から3月23日までに12.8%下落、米S&P500指数は1月の高値から3月30日までに9.1%下落しました。アメリカの株式市場が日本や香港よりも下げ幅が小さいのはなんとも皮肉としか言いようがないですが、アメリカは原油の純輸出国ですので、他国よりもガソリン価格の上昇による影響が小さいと見做されていたのでしょう。ただし原油価格の上昇とともに、米国内のガソリン価格も上昇し、4年ぶりに1ガロン(約3.8リットル)当たり4ドルを超えました。つまり価格はコロナ明け後のインフレに苦しんだ時代に逆戻りしたのでした。
2 香港株の戻りが鈍い
しかし気になるのは香港のハンセン指数の戻りが鈍いことです。4月10日の時点で、香港のハンセン指数は、下落幅の3分の1程度しか戻っていません。片や日本や韓国は、株価が下落幅の3分の2程度、回復しています。両国の戻りが早いのは、為替が円安・ウォン
安に振れているからです。イメージ的に日本・韓国は自国通貨が対米ドルで安くなることによって輸出産業が潤います。つまり企業業績が改善されることになります。
イラン戦争の開戦前の2月27日のドル・円相場は1ドル=156.13円で、4月10日には159.30円のドル高・円安となり、韓国ウォンも1ドル=1432ウォンで、4月10日には1484ウォンと、やはりドル高ウォン安になっています。当初は原油価格の高騰を見て、両国の株式が売られましたが、原油価格の上値が抑えられると徐々に株価も回復しました。
一方で香港株の戻りが遅れているのは、原油価格の高騰で「米利下げ政策」にストップが掛かっているからです。利下げ期待でイラン戦争の開戦前までは、米利下げ期待の恩恵を受けて香港株も上昇基調にありました。ところがアメリカの継続的な利下げが原油価格の高騰によって中断する訳ですから、米ドルとのペッグ制を採用している香港の金融政策も利下げを中断せざるを得ません。
3 日本株投資が有利か
日本には株式を買う、いわゆる好材料が目白押しです。
日本銀行の植田総裁は、批判を恐れて利上げを躊躇してきましたが、日本のインフレは、いつまでも逃げられないところまで来ています。インフレ率が3%近くあるにも関わらず、日本の政策金利は、0.5%(4月27日・28日の日銀政策決定会合)インフレ率が今後も3%前後で推移すると仮定しますと、10年後は銀行預金も複利計算で34.4%の利息収入がなくてはならないはずです。しかしながら現在の大口の定期預金金利でさえ、年率1%前後で、10年後でも複利計算で10.5%前後であることを考えると、著しい購買力の低下を避けることが出来ません。
また株式の配当利回りが2%前後あること、そして株価の上昇によるキャピタルゲインに対する期待を考慮しますと、日本人は銀行預金よりも株式投資を行っていく方が理にかなっていると思います。また購買力の低下を回避することが出来ます。
その株式投資によるキャピタルゲインですが、上場企業の純利益が毎年、15%増程度で推移すると仮定しますと、2032年頃には日経平均株価は10万円を超えてくるはずです。また株価が10倍になる銘柄もたくさん出てくるはずです。資産をインフレから守ることが出来るだけでなく夢を買うことも出来ます。
3つ目は、国民の目がようやく安全保障に向き始めていることです。イラン戦争を契機にエネルギー安保が如何に重要であるのかが理解され始めているのかもしれません。日本政府が米政府と合意のもとで、米アラスカ州から原油、天然ガスの施設を行う決定を下したことも、安全保障の意味を理解しているように見受けられます。
これまでの日本政府の対応のように「コストを惜しんで人命を惜しまず」のスタンスを変えれたのは、ひとえに日本国民の支持があるからだと思います。安全保障分野への投資は経済効果も、波及効果も大きく、日本経済を長期に渡って支え続けることになります。
4 「移民受け入れ」ではなく「人材流出を防ぐ」
先日、とある日本の量子物理学者が東京大学を離れて香港科技大学に移籍しました。移籍の理由として給与が約3倍に増加し、研究予算がこれまでの約10倍になることを挙げています。これだけの厚遇であれば、国境を超えるのは研究者のみならず当然です。正当に自身の実力や素質を評価されるところに行くべきです。
しかしながら日本国にとっては、これだけの逸材を手放すのは国家の損失です。ではどうすれば、優秀な人材の流出を防ぐことが出来るのでしょうか?それには経済成長しかありません。自民党のように安易に移民を受け入れるのではなくて、優秀な人材の流出を防ぐべきなのです。日本にはとんでもない優秀な人材が多く存在します。その人材を国内に留保しておくことが一番の経済対策なのです。その為には経済成長と株高に邁進するべきだと思います。
3 世界第66位のオールドメディア
日本は世界第4位の経済大国です。そして自由主義・民主主義国家であるとされていますが、本当にそうだったのでしょうか? これまでテレビや新聞を中心としたオールドメディアは自局の都合の良い事しか報道して来なかったのではないでしょうか?
もちろんAIの普及も含めて、ネット・オンライン上での情報は玉石混交でどれが正しい情報で、どれが正しくない情報かを見分けるのが難しくなってきています。しかしながらソーシャルネットワークが拡大することによって、不特定多数の者同士が意見交換できることによって、日本の国益には必要でない政党もいくつか散見されますが、あと2-3回の衆院・参院の選挙で、これらの政党は淘汰されていくでしょう。
辺野古の転覆事故(「事故」で報道されていますが本当は『事件』です)でも、日本の戦後の負の遺産が垣間見られました。
これら責任が所在する当事者でありながら、他人事のように振舞っている人たちは、年齢的には70歳代以上と見受けられます。60年代から70年代に偏った思想に基づいて、またメディアに煽られて学生運動に参加していたような、前近代的な思考の持ち主が中心になっていたのではないでしょうか。大手企業にも、学校にも、医療法人にも、メディアにも、法曹界にも、これらの偏った思想を持った人たちが浸透し、日本人の精神的な成長の足かせとなっていたのでしょう。これだけ世界情勢が大きく変わって、日本の安全保障も担保されなくなっている時代に、まさに「生きた化石」とでも言いましょうか。もうこの人たちはゲームオーバーです。
「失われた30年」は自民党の政治責任が重いとは言え、これら「戦後の負の人材」も確実に日本の精神的な成長を妨げてきました。その日本人の精神面での成長が日本の株価を押し上げているのです。
4 若者への期待で株価は上昇する
情報リテラシーを兼ね備えた新しい日本の若者たちは、国際社会の変動を察知しながら、
自らの判断で、新しい日本を構築していきます。それが今後は「ジャパン・プレミアム」となって日本株のプレミアムとして、アメリカ株のパフォーマンスをも上回る時代が来ているのです。アメリカがトランプ現大統領が、本人の言葉を真に受けるならば、「大統領は1期のみ」。次はバンス副大統領か、ルビオ国務長官が次期大統領候補と思われますが、対抗する民主党の方は、前回選挙でトランプ氏に大敗したハリス女史が候補に挙がっています。アメリカ国民が本人の大統領の資質に疑問を投げかけた人がまた大統領候補に挙がっている訳ですから、アメリカ政界の人材不足は深刻です。
日本はアメリカといい関係を保ちながらも、独自の外交路線を築いていく方が国益になるのではないかと思います。
(資料) 年初来の日経平均株価とハンセン指数の比較
「ちょっとお笑い、アトム&ジュエリー」
ジュエリー:トランプ米大統領は、医者に診て貰ったら、何か病名が付くかな?
アトム: 多分ね。昨日と今日で言う事が全然ちゃうからな。
ジュエリー:でもそれではアメリカ国民も困るでしょ?病人が政治活動を、また国家の
リーダーを務めていてもいいの?
アトム: しゃあないやん、アメリカ人が選んだんやから。
ジュエリー:でも絶対にリーダーにしてはいけない人っているよね?
アトム: 日本も前首相がそうやったわ。安倍さんが生前、「石破氏だけは首相にしてはいけない」って言うていたんや。
ジュエリー:それは安倍さんとは考えが対局にある、或いは「党内野党」として党の意向を汲んだ政治をしないってこと?
アトム: ちゃうちゃう。安倍さんは「石破氏は人を裏切る」って言うてたんや。つまり信用ならない。就任当初は国民から期待されてたけど、いざ首相になったら公約を守らず、国民を裏切る政策ばっかりやったやん。まあ日本には過去に菅さん、鳩山さんもいたけどな。
ジュエリー:なるほどね。あの政権が持続していたら日本の安全保障も危なかったよね。
アトム: まさに日本国民を奈落の底に落とすところやったわ。
ジュエリー:アメリカも日本も民主主義ってホントは欠陥だらけ・・・。
アトム: まあ最後は、本当の善人が政治をするしか方法がない訳やわ。もう次期首相はドジャースのオオタニさんでええんと違う?
筆者紹介
沢井智裕(さわい・ちひろ)
香港在住。
1995年にイスラエル人パートナーと共同経営でICGグループを設立。プライベートバンキングとファンドマネジメントを中心とした金融事業に精通。
ヘッジファンドやエクイティファンドを運用し、経験値と実績を積み重ねる。2022年には金融事業の一部を香港の上場企業に売却。
香港では米系華僑のアトラス・キャピタル社のレスポンシブル・オフィサーに就任し、華僑系の資産運用も一任されている。
香港から見た国際経済・国際金融についてユダヤ・華僑富裕層から得た情報を元に、日本国内では独自の切り口で上場企業や各団体の依頼で講演活動を行う。
ドラゴンゲート株式会社の海外特別顧問、投資兼財務戦略アドバイザー。
著書多数。
https://www.icg-overseas.com/blog
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