6月中旬に欧州中央銀行(ECB)が発表した報告書によりますと、2024年の各国中銀の外貨準備に占める金の保有割合は20%になりました。米ドルに次いで2位に浮上したのです。通貨ユーロの16%を抜きました。各国が輸出によって稼いだ外貨の保有を米ドルではなく、ユーロでもなく、ゴールド(金)で保有しているのです。いったいそれはなぜなのでしょうか。私達の資産運用にも大きく影響してきます。(ICGインターナショナル代表・沢井智裕)
1 デフレ発想の小泉氏の危険
今、日本ではコメの価格高騰に対して小泉農水大臣は「コメの価格を2000円台にしたい」
と語っています。備蓄米をこれでもか、これでもか、とばら撒いて米価を下げようとしているのですが、これは果たして国民にとって良いことなのでしょうか?
これこそが「日本の病巣」であるということに気づいていないのではないでしょうか?つまりこのような物価の下落が30年間、日本国民を苦しめているのです。『デフレの発想』なのです。本来ならば米価の上昇は歓迎するべきです。もちろん価格の上昇が速かった為
に、コメの消費者が困っているという現実は理解出来ます。
しかしながら本来であれば、コメの価格が上昇しているのだから、それに見合う賃金の上昇があれば問題は解決するはずです。ジーンズやTシャツ、ワンピースやスカートの価格
が上昇し、コンビニ弁当やサンドイッチ、おにぎりといった飲食、化粧品、歯ブラシ、シャンプーといった日用品、ホテル代や、住宅価格、家賃も上昇します。そして労働賃金もそれに見合う上昇が実現すれば、日本は緩やかなインフレ経済に移行できるはずです。
日本国民はまんまとデフレ発想に乗せられてしまっているのです。
2 中国はデフレ脱却に努力
アメリカではコロナ明けのインフレがようやく沈静化をしてきましたが、トランプ関税のためにアメリカ人の1年先の予想インフレ(物価上昇)が6.7%(4月時点)まで上昇して
います。つまりアメリカでは物価が上昇するインフレを予測する消費者が増加しているのです。特に中国に対する一段と高い関税は、対中圧力に留まらず、自国民をも苦しめるほどのインフレを齎す可能性があります。
一方の中国は、トランプ氏の追加関税を課される前は、不動産価格を始めとした物価や資産価格の下落が続くデフレ経済に苦しんでいました。そしてデフレを深刻化させない為にはどうすれば良いかを考えて、中国政府は苦肉の策として数々の経済統計の公表を中止したのです。経済の落ち込みを示唆する統計を国民の前に晒すと、国民は経済に対して自信を失います。自信を失った国民は消費行動を控えて、景気は後退します。景気が後退するとモノが売れなくなり、物価に下落圧力が加わります。これがデフレです。従いまして中国当局は、一時的に若者の失業率の開示を止めたり、不動産不況に絡み土地販売面積の公表を停止、都市部失業保険受給者数も公表が停止のままとなっています。
国によってやり方はそれぞれ違うのですが「意識的にか、無意識的にか」は別としまして、
物価が下落するのを許容するのは、日本国民だけかもしれません。小泉農水大臣は、まんまと日本人の「デフレ病」を利用して自らの株を上げたのです。
3 ではインフレ下の資産防衛は?
世界はインフレ経済に向かっているのに、日本だけがデフレを嗜好(或いは思考)しているように感じます。
先日、筆者の長年の付き合いのある投資家さんに久しぶりにお会いしました。その方曰く「2000年か2001年ぐらいに私(筆者)がゴールド(金)を推奨していた」と言われました。そしてその投資家さんは日本国内で1グラムを1000円―1100円台で数千万円購入されたそうです。
現在でもその時に購入したゴールドを保有されているそうですが現在のゴールドの
1グラムの価格は、1万7000円台ですので、約25年間で17倍になった計算となります。
その投資家さんの質問は「引き続きゴールドを保有するつもりですが、いくらまで上がりますか?」と。
私は「世界に、或いはアメリカにインフレが存在する限り、ゴールドの価格は上昇します
。」とだけ答えました。ゴールドは、商品(モノ)という側面、貴金属(ジュエリー)という側面、そして換金性が高い(代替貨幣)といった側面を持ち合わせています。資産家のポートフォリオの中では、「株式・土地・現金・ゴールド」と資産を4等分する時代に入っていると思います。
4 ゴールドが上昇する要因
1地政学的リスク、2財政危機リスク 3米中デカップリング、 4インフレリスク 5ドル安リスク 6金利低下と言った事が考えられます。地政学的なリスクは、巻き込まれた国々の通貨は弱くなります。そうするとその国家の人たちは自国通貨を売却し、米ドルを購入するか、ゴールドを買ってヘッジするのです。
そして財政危機です。アメリカは世界最大規模を誇る経済大国です。しかしながら債務残高も増加傾向にあり、政府債務残高は36兆ドルあり、この水準を超えて債務を増やすことは法律で禁じられています。これは財政の健全性を維持し、ひいては通貨ドルの安定、信用を図るものなのですが、36兆ドルの債務を超過して財政出動する場合は、新たに米議会の承認が必要になります。つまり議会の承認がない場合は、米政府職員の給与が支払われなかったりして、政府機能が活動停止に追い込まれるリスクがあります。アメリカはこの数年、何度となくこの問題に直面してきました。
また米中デカップリングによって、民主主義陣営と社会主義・共産主義陣営に経済圏が分かれたときに、米ドルを保有する国家は減少します。一方で人民元・ロシアンルーブルは
売買や保有が自由化されていませんので、外貨として保有するのはリスクがあります。
このようなリスクに直面した時に実力を発揮するゴールド。1オンス=10000ドルに到達するのも決して遠くない将来の話なのかもしれませんね。
(資料)ゴールド価格
https://www.investing.com/commodities/gold-streaming-chart
https://lets-gold.net/chart_gallery/gold-holdings-rank.php
「ちょっとお笑い、アトム&ジュエリー」
アトム: 7月の参院選、絶対に自民党だけは票入れへんで~~~。
ジュエリー:どうしたの、急に?
アトム: いや、自民党って1955年に結党したんやろ? ほんで党是が「憲法改正」
やで? 最近の国会では憲法改正の議論さえもされてないやろ?
ジュエリー:あら、結構まともなことを言うのね。
アトム: ということはやで、国民は80年にも渡って噓をつかれていたっちゅうことや
んな。
ジュエリー:あなた計算出来てないでしょ。70年間ね。
アトム: そんなんどうでもええやん。誤差の範囲やわ。日米共に政治はボロボロやわ。
ジュエリー:それよりも米中の関税合戦。アメリカのフォード社が大変そう。
アトム: それ、知ってるわ。中国の報復措置でアメリカはレアアース(希土類)が
手に入らんから、一時的に工場停止やって。
ジュエリー:トランプ氏の支持基盤なのに、トランプ氏は何も考えずに味方を怒らせて
いるのよ。
アトム: まさか自分の支持基盤の自動車会社の後ろから、味方が発砲するとはな。
ア、ハハハハ!
ジュエリー:フォード社の社員やご家族に方々に失礼でしょ。
アトム: あっ、すんません。
ジュエリー:ところでなんで、鼻垂らしてんの?
筆者紹介
沢井智裕(さわい・ちひろ)
香港在住。
1995年にイスラエル人パートナーと共同経営でICGグループを設立。プライベートバンキングとファンドマネジメントを中心とした金融事業に精通。
ヘッジファンドやエクイティファンドを運用し、経験値と実績を積み重ねる。2022年には金融事業の一部を香港の上場企業に売却。
香港では米系華僑のアトラス・キャピタル社のレスポンシブル・オフィサーに就任し、華僑系の資産運用も一任されている。
香港から見た国際経済・国際金融についてユダヤ・華僑富裕層から得た情報を元に、日本国内では独自の切り口で上場企業や各団体の依頼で講演活動を行う。
著書多数。
https://www.icg-overseas.com/blog
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