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統計から読み解く 訪日香港人のトレンド

香港人の日本国内における宿泊状況

【はじめに】

今年の梅雨は非常に短く、近畿地方では、6月9日に梅雨入りし、6月27日に明けた。例年は7月中旬であるため、極端に短い年となった。雨は少ない代わりに、暑さは厳しく、梅雨明け以降30度を超える日々が続いている。

先日、新聞報道で京都市が、暑さの「40-40」全国で一番乗り、という記事を見つけた。これは、今年の「猛暑日」と「熱帯夜」の数がともに40日に達し、全国の観測点でこの「40-40」に最初に記録したのが京都市という訳だ。

昨年は、この猛暑日と熱帯夜、京都市では54日、64日といずれも50日を超え、日本で最も暑く、「50-50」を国内で初めて記録する事となった。

今年は、そのペースを上回る形で暑さが継続しており、昨年の54,64日を上回ることが予想されているという。ヨーロッパでもスペインやギリシャで40度越を記録しているが、欧米からの観光客に京都の暑さについて聞いてみると、「湿度の高さ」を上げ、体感ではヨーロッパよりも暑く感じているという。

さて、本号では、観光庁による宿泊旅行統計に基づき、今年1-5月の香港人の日本国内における宿泊状況について、2019年、昨年同期との比較で見ていきたい。

【2025年6月の訪日者数】

まず、香港人の訪日状況について、2025年6月は166,800人、前月から約2.6万人減、24年同月比33.4%減であった。「7月に地震」の噂の影響から、訪日を控える動きがあり、今年の最少人数を更新した。例年6月は、5月を底に、7月の学校休暇に向けて訪日が増えていく月に当たるが、「噂」の影響が大きく影響した形だ。なお、コロナ禍前の19年同月比でも、20.2%減と19年を下回るのは2023年10月以来と、絶好調だった香港からの訪日に水を差す形となった。

また、1-6月の累計では、今年初めて前年同期比でマイナスを記録、0.4%減であった。

【香港人の都道府県別宿泊状況】

観光庁では国、地域毎、そして都道府県毎に、宿泊者の統計調査を月単位で行っている。2025年1-5月のデータが速報値として公表されており、香港人(香港特別行政区パスポート、BNOパスポート、いずれかの所持者)に関して都道府県別に集計を行った(図表1)。

香港人の日本国内での総宿泊数は、2,986,730人泊と、前年同期比で2.7%減だった。人数ベースでは、今年1-5月はまだプラス、7.7%増であったので、1回当たりの訪日における宿泊数が昨年よりも減少していることが分かる

香港人の宿泊が最も多かったのは、前期に続き東京であるが、前年同期比で3.6%減と、再開直後の23年から2年連続で減少しており、東京一極集中が徐々に解けてきている。

トップ3の自治体に変化は無いが、昨年初めて北海道を逆転して2位になった福岡が引き続き好調で、前年同期比6.0%増、19年同期比では113.3%増と倍増した。また、2位の大阪との差が、シェアで0.44ポイントと、宿泊施設の客室数では大阪が福岡の2倍程度ある中で、いかに福岡が香港人から選ばれていることが分かるだろう。

トップ5では、京都が6位に後退、沖縄が5位にランクインしている。那覇に加え、石垣、下地島(6/27から再開のため、今回の統計への影響は無いが)、と航空便が再開したことも増加に寄与したと考えられ、24年同月比で18.6%増であった(19年同月比では20.4%減のため、まだまだ伸びしろがあると解釈できる)。

トップ10で見ると、神奈川、岐阜がランクインし、昨年9位の熊本が15位、同10位の山梨が11位に後退した。

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図表1 訪日香港人都道府県別宿泊者数 (2025年1-5月期) 出典: 観光庁 宿泊旅行統計

【前年比での伸びと19年比での回復率】

前年比で最も伸びが高かったのは宮城で216.9%増、広島(157.9%増)、徳島(144.6%増)と続き、いずれも香港からの直行便が再開した事が大きな伸びにつながっている。周辺の山形、岩手もそれぞれ90.2%増、80.5%増と、仙台便の再開が、周辺県の宿泊増に大きく寄与している事も分かる。

前年と比較し、マイナス幅が大きいのが鹿児島(41.0%減)、熊本(37.1%減)、京都(36.3%減)、長崎(26.5%減)、滋賀(25.2%減)と、九州、近畿に集中している。

19年比での回復具合を見てみると、19年比でマイナスを記録したのが21道府県と24年通年での28道府県から減少し、地方分散の傾向が順調に戻ってきていることが分かる。

なお、19年比で最も減少が大きかったのは宮崎の82.4%減で、鹿児島(78.7%減)、島根(61.2%減)、高知(51.6%減)、長崎(49.4%減)と続く。南九州の宮崎、鹿児島が、直行便の再開や便数減の影響で回復が遅れており、福岡が倍増しているのとは対照的である。

 

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図表2 訪日香港人都道府県別宿泊者数 (2025年1-5月期) 出典: 観光庁 宿泊旅行統計

【香港人の地域別宿泊状況】

次に、各地方別に集計を行い、コロナ禍後訪日が再開した2022年10-12月期から25年1-3月期までの、四半期毎の推移を示したものが図表3である。

関東のシェアが減少傾向にあり、コロナ禍後では最も低い30.41%であった。また、近畿も18.16%と最も低くなり、19年同期が25.64%と地方別で最も多かったのとは対照的となっている。減少の背景には、訪日リピーターが多いが故に、京都や大阪の目新しさが相対的に減少し、他地域に流れていることが考えられる。また、大阪万博による宿泊費高騰や混雑を避ける動きも4月以降見られることから、今年の近畿エリアの宿泊は大きく減少すると考えられる。

19年同期で伸びているのは、東北、北信越、中部、九州で、特に東北は、シェアが3.71%と東日本大震災前年の2010年の3.4%を初めて上回った。

九州については、シェアは高いものの、県別で24年比プラスは福岡のみ、「例の噂」の影響に託けて、香港航空は熊本、鹿児島と運休するなど、結果、九州のゲートウェイは福岡だけの状況になっている。今後、福岡の宿泊にも影響が出てくると考えられるため、九州内での香港との出入り口を、九州全体の取組として、早急に回復させる必要ある。

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図表3 訪日香港人地方別宿泊者数 (2025年1-5月期)出典: 観光庁 宿泊旅行統計

【6、7月の京都市内の様子】

6月の京都市内主要ホテルの稼働率は、80.0%と前年同月から1.8ポイント増と順調に推移している。そのうち外国人比率は、68.6%と前年同月の62.9%を上回り、外国人の比率としては、過去3番目の水準となっている。

7月のハイライトの祇園祭も、前祭、後祭の巡幸も無事2回行われ、夏の訪れを本格的に感じる切り替えのタイミングとなった。

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祇園祭後祭宵山 (2025年7月23日 筆者撮影)

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祇園祭後祭山鉾巡行 (2024年7月24日 筆者撮影)

【筆者紹介】

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清水 泰正(しみず やすまさ)

Japan Tourism Research & Consultancy Limited 代表取締役社長

14年間の日本政府観光局勤務を経て、インバウンド誘客に関する戦略コンサルタントとして独立。シンガポール、香港に計9年間の駐在、現在、京都市観光協会アドバイザー、広島県観光連盟アドバイザー、(社)日本フォトウェディング協会顧問。

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